【連載②】日本のインターナショナルスクール、IBプログラムの基本

インターナショナルスクールについて、語りたいテーマが多すぎて、まずは日本のインターナショナルスクールの基本のキから、整理したいと思います。

日本に住んでいる外国にルーツを持っている方、もしくは、日本人の方でインターナショナルスクール、バイリンガル教育、グローバル教育について調べ始めた際にご参考にしていただければと思います。

まずは、日本のインターナショナルスクールはどんなものがありますでしょうか。

 

参考になるリストは2つあります。

一つは文部科学省の発表している国際バカロレアの認定校

http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1307999.htm

そこに二種類のスクールの一覧が掲載されています。

二種類というのは、1条校と1条校以外。

”一条校”って何?初めて聞いたかなり「??」だと思うので、解説しておきます。

一条校(いちじょうこう)とは、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第1条に掲げられている教育施設の種類およびその教育施設の通称である。 横書きでは、1条校と表記されることもある。 狭義の「学校」のことであり、「学校教育」や「学校教育に類する教育」においては法による保証・義務・振興などを特にともなう。

簡単に言うと、一条校は、普通の日本の学校のことでうs。

”一条校”として、首都圏付近の学校は以下となります。

(すべてのリストは上記文科省リンクからご覧ください)

日本におけるIB認定校(一条校)  ◎・・・日本語DP実施校

名称 都道府県 PYP MYP DP
茗渓学園高等学校(※茗渓学園中学校高等学校ホームページへリンク) 茨城県
昌平中学校(昌平中学校ホームページへリンク) 埼玉県
筑波大学附属坂戸高等学校(※筑波大学附属坂戸高等学校ホームページへリンク) 埼玉県
玉川学園中学部・高等部(※玉川学園中学部・高等部ホームページへリンク)  東京都
東京学芸大学附属国際中等教育学校(※東京学芸大学附属国際中等教育学校ホームページへリンク) 東京都
東京都立国際高等学校(※東京都立国際高等学校ホームページへリンク) 東京都
法政大学女子高等学校(※法政大学女子高等学校ホームページへリンク) 神奈川県

 

 

もう一種類は、一条校以外。

日本におけるIB認定校(一条校以外)   ◎・・・日本語DP実施校

”非一条校”として、首都圏付近の学校は以下となります。

(すべてのリストは上記文科省リンクからご覧ください)

名称 都道府県 PYP MYP DP
つくばインターナショナルスクール 茨城県  ○
アオバジャパン・インターナショナルスクール 東京都
インディア・インターナショナルスクール・イン・ジャパン 東京都
カナディアン・インターナショナルスクール 東京都
ケイ・インターナショナルスクール東京 東京都
JCQバイリンガル幼稚園 東京都
神宮前国際交流学級 東京都
清泉インターナショナルスクール 東京都
セント・メリーズ・インターナショナルスクール 東京都
東京インターナショナルスクール 東京都
みずほスクール 東京都
サンモール・インターナショナルスクール 神奈川県
ホライゾン・ジャパン・インターナショナルスクール 神奈川県
横浜インターナショナルスクール 神奈川県

 

ここでいうIB認定校はどういう意味でしょうか。

文部科学省の定義を見てみましょう。

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)とは

国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、1968年、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置。
現在、認定校に対する共通カリキュラムの作成や、世界共通の国際バカロレア試験、国際バカロレア資格の授与等を実施。

 

PYP、MP、DPのそれぞれの意味

  1. プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP) 【1,509校 (国内:22校)】
    3歳~12歳を対象として、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。どのような言語でも提供可能。1997年設置。PYPカリキュラムは、国際教育の文脈において不可欠とされる人間の共通性に基づいた以下の6つの教科横断的なテーマが中心となっている。

    • 私たちは誰なのか
    • 私たちはどのような時代と場所にいるのか
    • 私たちはどのように自分を表現するか
    • 世界はどのような仕組みになっているのか
    • 私たちは自分たちをどう組織しているのか
    • この地球を共有するということ

    これらの横断的テーマに取り組みつつ、PYPのカリキ

    以下の6教科を学習する。

    • 言語
    • 社会
    • 算数
    • 芸術
    • 理科
    • 体育(身体・人格・社会性の発達)
  2. ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP) 【1,398校 (国内:14校)】
    11歳~16歳を対象として、青少年に、これまでの学習と社会のつながりを学ばせるプログラム。どのような言語でも提供可能。1994年設置。MYPでは、以下の8教科を学習する。全ての生徒が5年のプログラム期間にわたってこれらの教科に取り組む。

    • 言語A
    • 言語B
    • 人文科学
    • 理科
    • 数学
    • 芸術
    • 体育
    • テクノロジー

    8教科は従来の教科を越えた「相互作用のエリア」(AOI:areas of interacton)である以下5分野と関連しており、PYPの横断的テーマと似た形で人間の共通性に焦点を当てている。この「相互作用のエリア」は、全教科に共通して適用され、生徒が、各教科を他の教科や実社会とは関連性のないものとして孤立的に捉えるのではなく、教科内容と実社会との関連性に対して認識を高められるよう働きかけることを目的としている。

    • 学習の方法(approaches to learning)
    • コミュニティーと奉仕活動
    • 人間の創造性
    • 多様な環境
    • 保健教育と社会性の教育

    これらを通じて、MYPでは、知識を統合された総体的なものとして示し、生徒がより広く、より複雑なグローバルな課題に対する認識を高めることが期待されている。

  3. ディプロマ・プログラム(DP) 【3,209校 (国内:33校)】
    16歳~19歳を対象としたプログラムであり、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能。原則として、英語、フランス語又はスペイン語で実施。 1969年設置。

 

生徒は、6つのグループから各教科ずつ選択し、6科目を2年間で学習する。ただし、「芸術」(グループ6)は他のグループからの科目に代えることも可能となっている。
また、大学やその後の職業において必要となる専門分野の知識やスキルを、大学入学前の段階で準備しておく観点から、6科目のうち、3~4科目を上級レベル(HL、各240時間)、その他を標準レベル(SL、各150時間)として学習する。 さらに、カリキュラムの中核となる核(「コア」)として、以下の3つの必修要件を並行して履修する。

グループ名 科目例
 1 言語と文学(母国語)  言語A:文学、言語A:言語と文化、文学と演劇(※)
 2 言語習得(外国語)  言語B、初級語学
 3 個人と社会  ビジネス、経済、地理、グローバル政治、歴史、心理学、環境システム社会(※)、情報テクノロジーとグローバル社会、

哲学、社会・文化人類学、世界の宗教

 4 理科  生物、化学、物理、デザインテクノロジー、環境システムと社会(※)、コンピュータ科学、スポーツ・運動・健康科学
 5 数学  数学スタディーズ、数学SL、数学HL、数学FHL
 6 芸術  音楽、美術、ダンス、フィルム、文学と演劇(※)

(※) なお、「文学と演劇」はグループ1と6の横断科目。「環境システムと社会」はグループ3と4の横断科目。また、「世界の宗教」および「スポーツ・運動・健康科学」はSLのみ。

  • 課題論文(EE:Extended Essay)
    履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を4,000語(日本語の場合は8,000字)の論文にまとめる
  • 知の理論(TOK:Theory of Knowledge)
    「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。最低100時間の学習。
  • 創造性・活動・奉仕(CAS:Creativity/Action/Service)
    創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。
DPの評価

国際バカロレア資格の取得には、DPカリキュラムを全て履修し、外部評価(国際バカロレア試験等)及び内部評価を通じて、45点満点中、原則として24点以上を取得する必要がある。
配点は、6科目につき各7点(計42点)。さらに、必修要件(「コア」)について、TOKとEEの評価結果の組み合わせに応じて最大3点が与えられる(CASは評価対象外)。
国際バカロレア試験は、南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年2回、世界で一斉に実施される。日本の1条校の場合は、原則として3年次の11月に実施され、翌年の1月5日に最終スコアが通知される。なお、国際バカロレア試験の出題例(サンプル)は、以下リンク先から閲覧可能(ただし、英語)。

出所:http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1307998.htm

分かりやすく言うと、DPは「海外の大学に進学するための資格であり、DPの成績次第で受けられる大学が決まります」ということです。

ここで注目していただきたいのは、DPの説明に原則英語、フランス語、スペイン語と書いてありますが、文科省のリストでは、「DP日本語実施校」との記載があり、日本語の学校で日本語でもDPの取得が可能ということを示唆しています。

 

 

通常インターナショナルスクールで海外の大学を入学するための国際バカロレア(IB)を、日本の一条校で日本語で取得できるようになったのはかなり最近の動きです。

平成25年6月閣議決定「日本再興戦略ーJAPAN is BACK-」の中で、「日本の若者を世界で活躍できる人材に育て上げる」をという目標を掲げています。

文科省は、平成26年、「日本語DP」の開発・導入について(平成26年度予算額:72百万円)を発表しました。

 

その中で下記のような内容が記載されています。

  • 国際バカロレア機構が実施する国際的な教育プログラム
  • このうち、高校相当のディプロマプログラム(DP)では、国際的に通用する大学入試資格が取得可能。そのスコアは、世界の主要大学の入学者選抜で広く活用。
  • 我が国では、国内の認定校等を、2018年度までに200校(平成26年4月現在:19校)に 大幅に増加させる目標を掲げている。

 

世界と戦える人事を育てるために、以下の施策を掲げています。

  • 初等中等教育段階からの英語教育を強化する。このため、小学校における英語教育実施学年の早期化、教科化、指導体制の在り方等や、中学校における英
    語による英語授業実施について検討する。
  • グローバル化に対応した教育を行い、高校段階から世界と戦えるグローバル・リーダーを育てる。このため、「スーパーグローバルハイスクール(仮称)」を
    創設する。
  • 2020 年までに留学生を倍増する(大学生等6万人→12 万人)

 

出所:http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/26/05/__icsFiles/afieldfile/2014/05/12/1347737_01.pdf

 

日本語DP

DPの授業・試験は、原則として、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要があるが、現在、文部科学省と国際バカロレア機構が協力して、DPの一部の科目を日本語でも実施可能とするプログラムの開発を進めている。

(日本語DP対象科目等)
日本語で実施可能又は実施可能予定の科目等は、以下のとおり。
・以下の科目:
「個人と社会」(グループ3)のうち、「経済」、「地理」及び「歴史」
  「理科」(グループ4)のうち、「生物」、「化学」及び「物理」
  「数学」(グループ5)のうち、「数学スタディーズ」、「数学SL」及び「数学HL」
  「芸術」(グループ6)のうち、「音楽」及び「美術」
※日本語DPでも、6科目中2科目(通常、グループ2(外国語)に加えて更に1科目)は、英語等で履修することが必要。
・「コア」(3必修要件)の全て:
「課題論文」(EE)、「知の理論」(TOK)及び「創造性・活動・奉仕」(CAS)
※日本語で実施できる科目等について、日本語に翻訳した科目ガイド等を以下リンク先から閲覧可能。
(翻訳している最中の科目ガイド等もあるため、翻訳対象文書の全てが掲載されているものではない。未掲載の文書については、翻訳が終わり次第、順次掲載予定。)
国際バカロレア機構日本語ページ(※国際バカロレア機構日本語ページへリンク)

(スケジュール)
日本語DPによるIB校の認定スケジュールは、以下のとおり(最も早いケース)。
・平成25年10月  IBに対し、最初の日本語DPによる候補校申請
・平成27年 2月頃 IBから、最初の日本語DPによるIB校認定(同年4月に1年生入学)
・平成27年 4月  一部の認定校で、2年生より日本語DP課程開始
・平成28年11月  同校で、3年生が国際バカロレア試験を受験(平成29年3月卒業)
※ただし、地理、数学スタディーズ、音楽、美術については、平成29年4月に2年生で日本語DP課程として履修可能となっており、平成30年11月に3年生で国際バカロレア試験において日本語により受験可能となる予定。

出所:http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/ib/1308000.htm

 

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